前回までにストレスと食事(食材)の関係やストレスと欲求不満解消行動(酒・たばこ・甘いもの)の関係について5回に分けて述べてきましたが、今回は上記をふまえ心配な要素を多分に含んだメンタルヘルスとメタボ健診について考えてみましょう。
そもそも私は、今時のいい方をさせてもらうとチョー肥満体型には改善した方が良いという考えです。
チョー肥満体型ってなに?
非常に抽象的ないい方ですが、例えば電車やタクシーで横に座られたとき、明らかに圧迫感を感じるほど体をはみ出してくる体型や、普段の呼吸がゼーゼーハーハーしてしまうほどの体型という方が分かりやすいでしょうか?
なぜこんな抽象的な表現になってしまうのか?
それはメタボ健診で一指標となっている腹囲、男性85センチ以上・女性90センチ以上という、数値で表しているので一見はっきりした指標に見えますが、実は全く曖昧な基準で規定されるメタボリックシンドロームにあわせて語ることを避けるためです。
みなさまもご存知のとおり人間ドックや定期健康診断は年に1度行われる健康診断のサービス名称ですが、実施後に二次検査や精密検査の経験をされている方も少なくないと思われます。
かく言う私も何度も経験しています。
最近では便潜血反応で陽性になり大腸がんが疑われるため、その後バリウム検査を行いました。
しかし結果は全く問題なし。全くというのは悪いところがゼロということです。
何故か?
痔による出血でも陽性になってしまうからです。
その他の健診項目も全てこんな感じです。
国家資格を持った医師の方々が自信を持って行うサービスですから、素人の私が健診の是非について論ずることはいたしません。
年に1度行い、その数値を自分なりに参考にもしていますので・・・。
しかし健康診断自体が病気を見つける(あるいはその可能性を見つける)という意味で、必ず一人はいるウォーリー君を捜すよりも確率的に低いサービスであることは間違いありません。
素人からすると、健診結果のこのような曖昧さについて知らされることなく二次検査や精密検査を宣告(?)され、その結果を知るまで病気かもしれないという心配からくるストレスでかなり嫌な思いをさせられます。
その原因は、恋の悩みや家庭問題、職場環境あるいはこれらの複合によるなど様々ですが、恋の悩みや家庭問題は人間の歴史上昔から存在する問題で、社会問題としてこのことが鬱(うつ)の原因として大々的に問題視されることはないように思われますし、これまでもなかったでしょう。
離婚に対するイメージの変化やその自由な風潮により、むしろ家長制度に縛られることから解放された女性などは、昔から比べると心的負担が軽減されたのではないでしょうか?
もちろん個々の問題(事例)としては存在するものですから、恋の悩みや家庭問題による鬱(うつ)に対処する医療行為やカウンセリングなどは必要です。
しかし最も重要視しなければならないのは職場環境によるものであることは確かなのではないでしょうか?
産業構造が重化学工業からIT産業へシフトし、よりPCを用いた高度なデスクワークが要求されるようになったり、あるいは一時はヨーロッパ的に一日の労働時間が8時間未満となり週休二日制から三日制に移行するのではないかと思われた労働条件が崩壊し、半休が4回で週休二日と見なすのはまだまし的な労働条件、はたまた成果主義がもたらした上司による部下への無理難題を求める罵声が当たり前のようになった職場環境など、今までになかった過剰にストレスを受ける要因が職場にはうごめいています。
社会の発展(豊かな国民生活)のために企業があり、そのための労働というヨーロッパ的発想か、ビジネスや企業の発展のための労働というアメリカ的発想かーーーアメリカ発祥のEAP(従業員支援プログラム)ビジネスが盛り上がりを見せはじめた日本社会がどちらの社会を選択したかは述べるまでもなく明らかであり、メンタルヘルス対策で企業がEAPサービスの導入を検討することからも、日本の実情を考えるときにメンタルヘルスーー鬱(うつ)ーー職場環境の関係は、切っても切り離せない関係であるといえるでしょう。
前置きが長くなりましたが、私が言いたいことは何か?
メタボリックシンドロームとメンタルヘルスの問題、そしてその対処についてどちらも必要であると肯定的に考えるとき、なぜメンタルヘルスを置き去りにしてメタボ健診を国家の一大事業として始めてしまったのかということです。 しかも曖昧な指標をもとに・・・。
メタボ健診の目的は、ただの肥満対策ではなく動脈硬化のリスクやそれによる脳梗塞や心筋梗塞の問題からきているらしいのですが、それは先に抽象的な表現で上げた「電車やタクシーで横に座られたとき、明らかに圧迫感を感じるほど体をはみ出してくる体型や、普段の呼吸がゼーゼーハーハーしてしまうほどの体型」の方達に向けられるべきものであり、「腹囲、男性85センチ以上・女性90センチ以上」(その他中性脂肪などの数値と複合的に判断されますが)などという曖昧な数値の対象者に向けられるべきものではなかったはずです。
この数値程度の肥満は動物学的に証明されているように、人間が年を取るとともに細面(ほそおもて)からずんどう体型になっていく範疇ではないでしょうか?
しかもストレス発散のために甘いものを食べたり、大食(アルコール含む呑み会など)していた人達が、メタボを理由にこれらの行動を抑制された場合に起こりうるメンタルヘルスの問題はどこへ行ってしまったのでしょうか?
腹囲がなぜ85センチあるいは90センチ以上になってしまったのかを考えない対症療法的なメタボ健診は、現象だけを見てその原因を突き止めていません。
ストレスーーストレス解消のための食行動ーーメタボリックーーメタボを理由に食生活改善という一連の流れの中で、ストレスとストレス解消部分を置き去りにしたメタボリック対策(具体的には保健指導)はメンタルヘルス的に非常に危険であると考えられます。
人間ドックや定期健康診断と同じ健康診断の仲間入りを果たしたメタボ健診と、メンタルヘルスのお話でした。